はじめに
ASUSがまもなく発売する Ascent GX10 は、NVIDIA Grace‑Blackwell「GB10」スーパー チップを採用した卓上サイズのAIマシンです。128 GBの統合メモリと最大1,000 TOPSの推論性能を備えつつ、消費電力はピークでも約170 Wに抑えられると発表されています。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
本記事では、同機を個人レベルのGPUマイニングに転用した場合、どの通貨が有望か、1日あたりの電気代・収益・最終利益を、日本の平均電力単価で概算します。
GX10のハードウェア仕様とマイニング適性
GB10は20コアArm CPUとBlackwell世代GPUを同パッケージ化し、NVLink‑C2CでCPU‑GPU間の帯域をPCIe 5.0比5倍に高めています。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
RTX 4090に匹敵する2 GH/s級のKaspaハッシュレートが報告されているBlackwellベースGPUを240 Wで駆動した場合の効率は約0.0083 GH/Wですが、GX10は170 W制限により1.8 GH/s前後に落ち着くと推定されます。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
グラフィック出力も備えるため、Ravencoin(KawPow)やErgo(Autolykos)などGPU寄りアルゴリズム全般を扱えますが、Kaspa(kHeavyHash)はメモリ帯域依存度が低く効率が高いため、家庭用電力単価の高い日本でも黒字化しやすい選択肢となります。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
電気代の計算
GX10を24時間連続稼働すると、
- 消費電力量:0.17 kW × 24 h = 4.08 kWh
- 日本の平均家庭用電力単価:36.699 円/kWh(2024年9月時点):contentReference[oaicite:4]{index=4}
- 日次電気代:約150 円(≒1.05 USD)
日次収益シミュレーション
最新のRTX 4090実測値では、Kaspa 2 GH/s・240 W構成で1.22 USD/日の総収入が報告されています。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
ハッシュレートをGX10想定の1.8 GH/sに比例させ、消費電力差も考慮すると総収入は 約1.10 USD(165 円)/日 と推算できます。
- 総収入:165 円
- 電気代:150 円
- 日次利益:15 円(月あたり約450 円)
参考までに、より電力制約の少ないRTX 5090(410 W)ではGRIN等で19 USD/日以上の収入例もありますが、日本の高電力コスト環境では同クラスGPUでも赤字になるケースが多い点に注意が必要です。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
まとめ:導入判断のポイント
- 最有力通貨はKaspa:メモリ帯域依存が低く、Blackwell GPUの効率を活かせる。
- 電力コストが収益を圧迫:36.7 円/kWhでは日利15 円程度。電力単価が20 円/kWh以下の事業用契約や地方電力を確保できない限り、大きな利益は期待しにくい。
- AI推論との兼業:AI開発や推論用途で昼間稼働し、夜間にマイニングを回す運用なら設備投資をより有効活用できる。
- 為替・難易度変動リスク:Kaspa価格やネットワーク難易度、円安・円高で損益が大きく変わるため、定期的にWhatToMine等で再試算し、撤退ラインを明確にすることが推奨される。:contentReference[oaicite:7]{index=7}
Ascent GX10は革新的なAIミニスーパーコンピューターですが、日本の家庭で「マイニング専用機」として使う場合、現状の電力単価では趣味レベルの微益に留まります。AI研究とマイニングを両立させるハイブリッド運用こそが、同機を最も有効活用するシナリオと言えるでしょう。